デートDV
(10・20代のあなたへ)
カップルのあいだで起きる「こまったこと」
恋人どうしのあいだで、こんなことはありませんか?
- 気に入らないことがあると大声でどなられる
- ほかの友だちと遊ぶのをいやがられる
- 勝手にLINEやメッセージを見られる、連絡先を消される
- 服のえらび方や持ちものを細かく言われる
- 自分をいちばんにしないと機嫌が悪くなる
- 「イヤ」と言ったらたたかれた
こうした行動は、「デートDV」とよばれる暴力のひとつです。
大声でどなることや、相手の行動をしばることも「暴力」に入ります。
たとえ「好きな人」でも、相手を思いどおりにしようとするのは間違いです。
こわいと感じたり、いやな気持ちになったりすることがあるなら、それはあなたのせいではありません。自分の気持ちを大切にしていいのです。
デートDVとは
暴力を使って相手を思い通りにする(支配する)ことをDV(ドメスティック・バイオレンス)といいます。若いカップルの間でおこるDVを、デートDVといいます。外から見えない暴力のほうが多いし、つらいのです。
体への暴力
なぐる、ける、たたく、物をなげる、首をしめる
心への暴力
バカにする、おどす、無視、LINEやメールチェック、束縛
性的暴力
避妊に協力しない、セックスを無理にする、同意のない性行為
お金の暴力
お金を返さない
インターネット・テクノロジーを使った暴力
位置情報アプリで監視する 、リベンジポルノ
あなたは悪くない
どんな理由があっても、相手に暴力をふるうことはしてはいけません。
「好きだから」「けんかしたから」などの言いわけをしても、暴力は暴力です。
ウィメンズネット・こうべの調べ(2007年)では、交際している女子高校生の4人に1人以上(28%)が、デートDVの被害を受けたことがあると答えています。
デートDVが続くと、心がずっと不安でおびえたままになってしまいます。
「また怒られるかも」と思って安心できず、頭が痛くなったり、おなかが痛くなったりすることもあります。 でも、あなたは悪くありません。
悪いのは、暴力をふるう相手のほうです。
あなたが安心して過ごせるように、まわりには力になってくれる人がいます。
彼氏/彼女ができたときにチェックしてみよう
暴力的な態度をとっていませんか?
- 相手が自分の意見に従わないと、すごくイライラしますか
- 相手の行き先、服装、することなど、いちいち指示する権利があると思っていますか
- 相手がどんな人と話しているか、すごく気になってイライラすることがありますか
- 腹が立つと、相手の目の前で物を叩いたり、大きな声を出したりしますか
- 女性はいつも男性の言うことを聞くべきだと思っていますか
- 相手が自分のことを好きなら、いやなことでも応じるべきだと思っていますか
彼女(彼)はあなたの”モノ”ではありません!
暴力を受けていませんか?
- 「バカ」とか「お前なんかにできない」とか、あなたが傷つく言い方をしませんか
- あなたが用事で会えなかったりすると、自分を最優先にしない!と言って不機嫌になりますか
- しょっちゅう携帯に電話してきたり、あなたがどこで誰と会っているか何度も聞いてきたりしますか
- あなたの携帯をチェックして異性の友達のアドレスを消せと言われたことがありますか
- あなたは相手を怖いと思うときがありますか
- けんかをしたとき、怒らせるのはあなたが悪いなど、あなたのせいだといって責めますか
- 「俺(私)のこと好きなら、いいだろう」と、あなたの気の進まないことをさせようとしますか
一つでもチェックがついたら要注意!
一人で悩まないで相談しよう
別れたいのに別れられない
別れたら「死ぬ」と言われ、別れられなかった
相手のことは好きだけど時々こわい
せっかく付き合えるようになったのになんだかつらい
会うたびにセックスを求められてイヤなんだけど
彼といるといつものわたしじゃないみたい
相手の暴力を直したいけど変わってくれるかな?
なぜデートDVは起きるの?
- 力で相手を支配して、自分の思うようにできることを学習した【力による支配】
- 相手が悪ければ、多少は暴力をしてもいい【暴力を容認している意識や社会】
- 性の差に基づく偏見がある【男は多少乱暴でもいい】【女はかわいくて従順なのがいい】
男・女らしさにこだわりすぎると、支配や暴力につながりやすい。デートDVは一方的に相手を支配することです。愛には暴力も支配もありません。
デートDVかなと思ったら
もし友だちが被害にあっていたら
- しっかり話を聞く、批判しない、相談を勧める
- 「愛されているから」「よくある話」「彼を怒らせないようにしたら?」は言わない
- 「あなたが悪いのではない」「いつでも力になるよ」と伝えてあげよう!
もし友だちが暴力をしていたら
- どんな理由があっても暴力を肯定しない
- それは暴力だから、やめるように言う
もし自分が被害にあったら
- 自分を責めない
- 一人で解決しようとしないで必ず誰かに相談する
- 別れ話をするときは暴力がひどくなることもあるので、人が多くいる場所で誰かにそばにいてもらおう
対等な関係をつくるには
- 男らしさ、女らしさにこだわらないで、それぞれの自分らしさを大事にする
- 自分の気持ちや意見、からだを大事にする
- 相手の気持ちを思いやり、考えや価値観の違いを認める
- 自分の気持ちを言葉で伝える。怒りを暴力ではなく、言葉で伝える
- 自分が嫌なことにはNOと言い、相手のNOも受け入れる
自分を尊重し、同時に相手も尊重することが大切です。
学校の先生方へ
デートDV防止プログラム
「デートDV」は、若いカップルの間で起こる深刻な問題です。もしかしたら、あなたの学校の生徒さんの中にも、交際相手からの暴力や束縛で悩んでいる人がいるかもしれません。
私たちの調査では、交際経験のある高校生の約3割が、何らかのDV(精神的、身体的、性的な暴力)を経験しているという結果が出ています。特に、束縛や性的な暴力が、若い世代のデートDVの特徴です。
デートDVは、将来の深刻なDVにつながる可能性もあり、予防のための教育が非常に大切です。私たちは、これまでのDV被害者支援の経験を活かした実践的なデートDV防止プログラムを、学校向けにご提供しています。
誰もが安心して自分らしく生きられる社会、そして学校生活のために、この予防教育に取り組んでみませんか?詳細なプログラムの内容や実施実績については、以下のページをご覧ください。
