デートDV防止プログラム

中高の授業として活用されるプログラムですが、企業など大人向けにも実施できます。
デートDV防止教育の必要性
「配偶者・恋人からの暴力」であるドメスティック・バイオレンス(DV)が最近、10代、20代の若いカップルの間でも起こり問題になっています。「デートDV」と呼ばれるこれらの暴力は将来、深刻な夫婦間のDVにつながる可能性も高く、防止策が急がれます。
「ウィメンズネット・こうべ」がすでに授業を実施した高校における独自のアンケート調査でも、交際経験のある高校生の約3割が、DV被害(精神的、身体的、性的な暴力のいずれか)を受けたことがあると答えています。
若い世代の「デートDV」の特徴は、束縛と性的暴力です。付き合いの制限など「束縛」は男女ともにありますが、「交際相手を怖いと感じたことがある」では明らかに男女差があることが調査でわかりました。(後述アンケート参照)
被害を受けた方の多くは、まず身近な友人や知人に相談しています。だからこそ、DV・デートDVについて正しい知識と理解を持つ人が一人でも増えることが大切です。その積み重ねが、暴力に苦しむ人を支える力となり、ひいては社会からDVをなくしていくことにつながります。
受講した高校生の90%が「とてもためになった。知って良かった」と感想を書いています。「対等な人間関係」について考え学ぶきっかけにもなります。被害者にも加害者にもならないために、若い世代へ向けたデートDV予防教育が必要です。
私たちはこれまでのDV被害者支援の経験を活かした実践的な講座を実施しています。
誰もが安心して自分らしく生きられるように、学校だけでなく、地域や職場でもDVやデートDV防止のための研修に取り組んでいただけることを願っています。
プログラムの内容
2名の講師による、学年単位(100人から300人程度)、60分〜90分程度のプログラムです。 クラス単位、少人数のプログラムへの変更も可能です。
生徒がデートDV自己チェック表に記入する
生徒自身による、身近なデートDVの寸劇を行う
パワーポイントを使ってわかりやすくデートDVについて講師が説明する
― 対等な関係を築くために ―
- 力と支配について
- けんかといじめはどうちがうか
- デートDVとは
- 暴力の種類
- 何故DVは起きるのか
- 大人のDVについて
- DV家庭で育った子どもについて
- お友だちがDVにあったら
- 対等な関係を築くには
生徒自身による、対等な関係の寸劇を行う
終了後にアンケートをとる
プログラムの特徴
友だちが演じることで、身近な問題だと感じることができるし、デートDVのバージョンと対等な関係バージョンの二つのシナリオを演じることで具体的な行動の方法を学ぶことができます。
すなわち、DVを見聞きしている子どもが25%はいるということです。
「大人の暴力はあなたのせいではない。」
「あなたが決心したら暴力のない家庭を築くことができます」という箇所は、多くの子どもたちが非常に熱心に聞いています。
尊重するということがどういうことかを具体的に伝えます。
対等な関係や、尊重するということが、子どもたちにはあまり理解できていません。
参加者の感想
高校生 男子
- 一生役にたつ授業を受けることができてよかった。
- 罪悪感にまみれて体育館から逃げ出したくなった。
- この話を聞かなければいけない人はたくさんいると思う。
- 講演を続けて行って欲しい。
- 何があっても暴力にだけは走りたくないと思った。
- そういうことがあった時に相談できる友達を持っていたいと思うし、相談される友人でありたいと思った。
高校生 女子
- 身体的な暴力をDVって言うんだと思っていたけど、精神的、経済的、性的な暴力もDVっていうんだなあと思った。
- 束縛するのは好きな証拠だと思っていたけど、そうじゃないことがわかりました。
- 付き合うってことは大変なこともあると思うけど、うまくやっていけたらいいなと思った。
- 抱え込まずに人に相談しようと思います。
- 今までこんな講演会を聞いたことなかったので、どんな感じなんだろうと思っていたけど、凄くためになった。
- 意外と身近におこるんだということに驚いた。自分がもし受けたらきちんと「NO」と言えるようになりたいと思った。
中学生 男子
- やっぱり男の人は女の人を自分より下だと思っているので、そこが暴力に発展していくと思いました。
- 僕は実際劇に出て、デートDVを体験しました。デートDVって、いまいちピンとこなかったのですが、現状について理解する事が出来ました。確かに自分と相手の立場に上下が生まれると下の立場の人は嫌だろうし自分もそう思います。自分はそういった上下関係をつくらないように生活していこうと思います。
- DVについて深く理解が得られました。やはり大事なのは、尊重し合う心だと思います。尊重しあう社会を築くことができればDVは間違いだと認識されるはずです。
- 今回の講座を聞いて,すごく心にしみました。DVというのはテレビなどで聞いたりする事があるけれど詳しくしりませんでした。僕には長いことつきあっている彼女がいます。これからもっといい関係を築いていきたいです。
中学生 女子
- まだ誰かと付き合うなんてことはしたことがないんですけど、人を大切にするということを改めて理解できたし、つきあったからと言って、その相手を自分の自由にしようと思うおろかさを改めて理解できたので、よかったと思います。
- デートDVは「男=女」になっていない社会の表れだと感じました。いくら平等な権利を持っていてもやっぱり一番替えていくべきなのは、「男は強く、女はか弱い」という考え方そのものだと感じました。私はDVはひどい暴力としか思っていなかったけど、身近で起きていることもデートDVになるんだなと思いました。誰もが、もっとお互いのことを思いやれて、DVなんてないような世の中に、私たちの世代がしていきたいです。
- けんかとDVはぜんぜん違うということなど、よくわかってよかったです。「ラストフレンズ」も見ていましたが、正直男が女に暴力をふるうだけだと思っていました。でも実際女が男に暴力をふるうこともあると知って、同じ女性としてショックでした。
教員
授業の良かった点
- 人を人として尊重するという考え方に根ざした考え方を再確認しました。
- 寸劇やパワーポイントを使用し、視覚に訴える方法を使って授業をされていたのが良かったと思います。また、さりげない一言で相手をしばってしまうことがあることに気付かせる内容がよかったです。自分でもいろいろ考えさせられることがあり、よかったです。
- 「デートDV」という言葉を聞いたことがある生徒は少ないと思いますし、例え言葉を知っていても内容を知る機会は少ない中、こういった活動をしてもらえることは貴重だと思います。社会に出る前に聞けてよかったのではないかと感じます。
生徒の受け止め方について、気付いたことがおありでしたら教えてください
- 身近な問題で、生徒の表情を見ていたら興味を示しているように思えた。
- どの生徒も真剣に授業を聞いていたように思います。
- 自分の権利と義務、人としての生き方を学んだように思います。
- 一人一人真剣に考えていたのではないかと思う。
- 一番身近な、彼氏と彼女の問題として考えたときに、思いあたることがある生徒もチラホラ…表面的には照れもあり、下を向いていた生徒もあったと思いますが、内側に残るものがあった気がします。
授業後のアンケート




授業を受講した高校生のアンケート結果より抜粋
(2010年・ウィメンズネット・こうべ)
・1万人の高校生アンケート 2008年10月、2012年
・中学生アンケート 2012年度
講師について
女性問題カウンセラー、性教育ファシリテーター、CAPスペシャリスト、助産師、大学教員、DVシェルタースタッフなど、DVや児童虐待に関わる仕事をしている人も多いです。
費用
90分授業 5万円(税抜、別途交通費実費)
ただし、日程や授業の時間、実施単位などは、学校側の相談に応じることは出来ます。お気軽に御相談ください。
実施校には、「デートDV相談窓口情報カード」(実施した生徒数)、
保健室用に、「デートDVに関する小冊子」(50部程度)などをプレゼントしております。
お申込み先
申し込み用紙にご記入の上、E-mail または FAXでお申し込みください。
